【news】『松戸のたからもの』展に板倉鼎・須美子の作品が展示されています

松戸市立博物館で開催されている松戸市所蔵の美術コレクションを紹介する展覧会に板倉鼎・須美子の作品が展示されています。鼎10点、須美子4点。代表作ほか秀作が揃っています。

主な展示作品:

板倉鼎 1)画家の像(1928年)2)休む赤衣の女(1929年頃)3)ダリアと少女(1929年)

板倉須美子 1)午後・ベルホノルル12(1927~8年頃)2)ベルホノルル24(1928年頃)

展覧会期間:2020年7月23日(木)~8月30日(日)

【topics】中村拓博士のこと(藤田嗣治、板倉鼎等の集合写真を巡って:中村士先生からの手紙)

昨年1月、松戸の聖徳大学博物館で開催された「フジタとイタクラ展」は、藤田嗣治と板倉鼎・須美子の絵画作品を主とした展覧会でしたが、展覧会名の直接の根拠となった集合写真  ー1927年3月パリで撮影、フジタもイタクラも写っているー  も展示されました。二人は東京美術学校油画科の15年離れた先後輩で、パリでも往き来があったことは鼎本人の手紙からも確認出来ます。しかし映像として残っているのはこの一枚だけです。

(写真と氏名対比シルエット図参照。写真は個人蔵、シルエット図は松戸市教育委員会作成)

この写真について、中村拓(ひろし)医学博士の子息、中村士(つこう)先生(天文学者、理学博士)から連絡をいただきました。

(quote)集合写真ですが、中央に大久保作次郎が写っていますので、彼の送別会の写真だろうと思います。また、中村拓は右端に、両手を組んで大きく写っている人物だと思います。(unquote)

写真は先月出版された「板倉鼎・須美子書簡集」には、中村拓博士の名前入りで掲載されています。今般、中村先生からいただいたお手紙を抜粋して紹介します。

(quote)大久保作次郎の送別会写真(「フジタとイタクラ展」展示写真)は井上由理さんの『青春のモンパルナス 清水多嘉示滞仏記』(2006年)には、ほぼ全員の氏名が載っています。中村拓は、在パリ中は多くの日本人絵描きさんと交流があり、戦後も岡鹿之助さんらとは年賀状のやり取りをしていました。山口長男さんなどは、毎夏家に来て夜遅くまでビールを飲んで歓談していたのを子供心に覚えています。(unquote)

中村拓は生化学者、医学者(1890~1974)。パリのパスツール研究所に留学中(1921~1929)は、医者として日本人画家達の健康面を診ており、板倉鼎も診察を受けています。書簡集にも登場します。

(文責:水谷嘉弘)

【topics】入江観先生からお手紙を頂戴しました

「板倉鼎・須美子書簡集」をお送りした先からは多くのメール等が寄せられていますが、洋画家の入江観先生のお手紙は興味深い内容なので紹介させていただきます(先生からは転載許可をいただいております)。

(quote)何年か前に日本美術家連盟の「明治以降美術の研究委員会」で話題になったことがあり、以来関心を持って図版などを拝見して来ました。私は個人的に岡鹿之助先生や斎藤豊作未亡人にお世話になったことがあり、御存命中に板倉さんについて伺う機会があったのにと残念な気がします。いづれにしても貴重な記録の出版に敬意を表します。(unquote)

書簡集末尾の索引に依れば、書簡には岡鹿之助、斎藤豊作がしばしば登場しています。板倉鼎・須美子夫妻と親しかったことがよくわかります。入江先生のお手紙で板倉夫妻がより身近に感じられます。ありがとうございました。

また、書簡集を、先生のお手紙にあった一般社団法人「日本美術家連盟」、及び同連盟「明治以降美術の研究委員会」委員長笠井誠一画伯にもお送りしました。

(文責:水谷嘉弘)

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